特別養護老人ホームと入り方について

A:高齢の方が介護を受けられる施設という意味では、どちらも共通しています。運営元が異なり、特別養護老人ホーム（特養）は地方公共団体や社会福祉法人であるのに対し、介護付き有料老人ホームは民間企業です。
入居資格は、特別養護老人ホームが要介護1～5と認定された、年齢が65歳以上の方です。

介護付き有料老人ホームは施設によっても違いますが、一般的にはこちらも65歳以上の方を対象としています。
介護付き有料老人ホームは民間企業が運営しているため、サービスや設備の充実度などによって費用に幅があります。

それを踏まえた上での月額料の目安は、特別養護老人ホームが5万～15万円くらい、介護付き有料老人ホームが15万～20万円くらいです。

・入居のしやすさ

どちらも介護をしてくれる老人ホームなので、入居を希望するときはどうしても介護の必要性を感じたときになりがちなのではないでしょうか。

介護付き有料老人ホームは、空室があればスムーズに入ることができます。

特別養護老人ホームは、希望してすぐに入居できることはなかなかありません。

理由は、介護の必要性や緊急性が高い方から順番に優先され、軽い方ほど後回しにされるからです。

申し込みをしてから、少なくとも数カ月は待つと考えておいた方がいいでしょう。

順番待ちをしている人は、40万人近くにも達しているというのが現状です。

10年待たされる可能性も、否定できません。

・医療対応の充実度

特別養護老人ホームは民間企業ではないので、安い費用で入居できるというメリットがあります。

その分、相部屋もあるケースも珍しくなく、築年数が経っている建物が多い傾向があります。

介護付き有料老人ホームは費用を比べると高くなりますが、新築の建物が多いこと、個室になることが一般的であること、プライバシーを大切にされていることなどがあげられます。

カラオケルームやシアタールーム、レストラン、カフェなどホーム内に娯楽施設があり、同じ趣味を持った仲間と毎日顔を合わせるのが楽しいという入居者が大勢いますよ。

最も重要な違いは、特別養護老人ホームは夜間などに医療を受けられないことです。

介護付き有料老人ホームは24時間365日、いつでも交代制で看護職のスタッフが万全を期しています。

夜に容体が悪化したら、特別養護老人ホームでは医療サービスが受けられませんので、疾病の性質などによっては難しい環境となるかもしれません。

それぞれの特徴をしっかり把握した上で、ぜひ最善に選択を行ってくださいね。

特別養護老人ホームにもメリットとデメリットがありますので預ける前によく考えましょう。

・特別養護老人ホームのメリットについて

在宅介護では24時間付きっきりで介護する事は難しいですが、特別養護老人ホームにおいては、24時間体制の介護を受けることができますので、高齢者本人にとってもメリットが大きいです。

ある時突然追い出されるという可能性もありませんので、長期間に渡って入所することが可能です。

非常に暗いイメージが強いかもしれませんが、年間を通じていろいろな行事が用意されていますし、レクリエーションも多いので、要介護度が高い人が揃っているとはいえ、楽しい施設となっています。

そして最大のメリットは、入居金が無く、利用料も安く設定されているという点です。

・特別養護老人ホームのデメリット

大きなデメリットとしては、入居するまでの時間がかなりかかってしまうということではないでしょうか。

タイミングにもよりますが、数年は待たなければならないという場合も多く、その間に病状がどんどんと悪化したり介護者の疲れが溜まってしまうケースも多いです。

要介護度3以上ないと申し込むこともできませんので、緊急に施設を探している人にとってはデメリットが多いです。

さらに、老健のようにリハビリをして回復を目指すというよりは、介護目的としているため、機能が回復して家に戻ってくるという見込みは低いです。

特別養護老人ホームの現状

A:特別養護老人ホームの現状は、介護士の人手不足で苦しい状況にありますが、それでも高いサービスが提供されています。

・介護職の離職が激しい

若い世代は介護の仕事に最初は魅力を感じるのですが、だんだんと現実を見て辛くなってしまい、転職してしまうことが多いです。

ヘルパーに対する給料はそこまで高くはないので、夜勤がある割には給料が安いと感じてしまうことが多いのです。

ですから、介護が好きだという職員だけが残っていて、一生懸命働いているのが特別養護老人ホームの現状です。

・見方を変えればとても良い傾向

特別養護老人ホームは介護度の高い人が入所しているわけですから、かなりボランティア精神が高くないと務まりません。

軽い気持ちで入ってきた職員はすぐに抜けてしまいますので、現在残っている職員は非常に意識が高い人が多いです。

おむつ交換にしても嫌々やるのではなく、利用者一人一人が少しでも快適に排泄を行えるように考えているプロフェッショナルが多いです。

ですから、人員が少なくなるというのは、少数精鋭になるという意味も含めて、デメリットばかりではないのです。

今後高齢化が進むにつれて、どのようにして人員を確保するかということは課題になりますが、介護の世界を魅力的と感じる人たちが必ずいますので、そこまで悲観的になる必要はないでしょう。

・虐待のニュースもあるがほんの一部のケース

残念ながら、高齢者施設では必ずといっていいほど虐待の問題が生じますが、虐待に関しては政府もかなり力を入れていますし、施設側も力を入れているので、今後減っていくでしょう。

ある説では昔の時代の方が虐待が存在していたものの、現在のようなインターネットの発信力がなかったため、公表されていなかったとも言われています。

このように考えてみると、色々と嫌なニュースもありますが、特別養護老人ホームの現状は改善されていっていると結論付けられます。

少子高齢化が進みますので、ロボットなどの導入が必要になったり、外国人の介護士が必要になる場合もあるかもしれませんが、在宅介護ではサポートすることができない人に対して、特別養護老人ホームが大きな助けになる事は間違いありません。

たまに起きてしまう犯罪によって老人ホームのイメージが悪くなる場合もありますが、基本的には虐待などをどのように防止するかという点でしっかりと対策がとられていますし、楽しみながら仕事をしている職員が多いので、特養は非常に魅力のある施設です。